CES2008まとめ

ビル・ゲイツ

1月6日(夜)、ビル・ゲイツの最後になるというキー・ノートスピーチに始まったCES2008。ビル・ゲイツのスピーチは、ここによくまとまっている。

CES 2008 - 「これが私の最後のステージです」米MS会長ビル・ゲイツ氏基調講演

なかでも面白かったのが、ビル・ゲイツの(マイクロソフト)最後の日というビデオ。これはYouTubeにたくさんアップされている。スティーブ・バルマーはわかるが、U2のボノ、スピルバーグ、ヒラリー、ゴア・・、豪華な顔ぶれが面白い演技をしている。

ビル・ゲイツは今後の10年間の重要なキートレンドとして、4つをあげていた。(1)LCD、プラズマなどのディスプレイの進歩、(2)インターネットは家電を始めPC以外に接続される、(3)ワイヤレス化される、(4)ユーザー・インターフェースが変わる。
そして、大きな舞台にそれらのプロダクトを持ち込み紹介していた。

たとえば、Windows Auto。ついに車までWindowsが搭載。音楽デバイスであるZuneなどと連携する。さらに、ユーザー・インターフェースの例として、展示場でも人を集めていたSurface。これは明らかにiPhoneiPod touchに刺激されたインターフェース。液晶のようなガラス張りの机でiPhoneのように写真を回転させたり、引き伸ばして見られたり・・。

展示場でもMicrosoftのスペースが最大規模。PCだけではなく、家電もMicrosoftということだろう。


インテル オッテリーニ

これもまた、こちらに良くまとまっている。

CES 2008 - Intel オッテリーニCEO基調講演 - 革新を実現するMenlow、そして新たなSoC

インテルは相当懐が深そうだ。チップだけではなく、さまざまなアプリケーションも開発している。受けていたのが、普通のデジカメで3方向から写真を撮れば3Dのアバターが作れるというBigstage。

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/01/09/ces07/images/013.jpg

インテルはチップさえ開発納入してしまえば、あとは左団扇。その儲けで余裕で、こんな研究開発ができるのだろう。本来は地味になりがちなプレゼンに花を添えている。



パナソニックコムキャスト

日本のネットではほとんど紹介されていないが、今回の目玉は、パナソニックコムキャストではなかろうか。パナソニックは相当練習したのではと思われる英語のプレゼン。これはビル・ゲイツをはじめとするほかのスピーカーと全く互角。そのプレゼンスタイルも、日本のように原稿を読みあげるなどと言うものではなく、しっかりとしたジェスチャーで聴衆をひき付けていた。新しいプロダクトを紹介し、"How do you like it?"と会場に問いかけると、会場からは拍手。そのあたりの間も良い。

2008 International CES【パナソニック基調講演レポート】

150インチのプラズマを舞台で紹介し、実物大の象を映していたのが印象に強いが、実はその翌日の全米最大の光ファイバーを有するCATV会社であるコムキャストとの提携、YouTube、Picasaなどとも提携を発表したことは、時代の新しい方向を示唆したのではないかと思う。

コムキャストは、IPTVを家庭に届けるためには日本と同様、セットトップボックスが必要だった。しかし、今回の提携で、True2Wayと名づけられた商品は、パナソニックが発売するプラズマテレビにあらかじめセットトップボックスが内蔵されているという商品。

明らかにブロードバンドで世界に先行し、VODのような映像コンテンツの配信でも、CATV会社は当たり前として、そのほか、さまざまなADSL、FTTH会社が提供してきた。しかし、いずれもセットトップボックスが必要で、あちらこちらでテレビに内蔵してしまえば良いのにという議論がされてきた。しかし、そのプロダクト、サービスにおいて、米国に先をこされた。また、それがソニーならわかるような気もするが、パナソニックだ。

つまり、パナソニックまでもが、通信との融合に本気になり始めた。そして、パナソニックのスピーチにコムキャストのCEOが招かれ、その翌日のコムキャストのスピーチにパナソニックが招かれて、連携の強さをアピール。本来は家電のショーだ。キー・ノートスピーチに通信会社がプレゼンすることも初めて。時代の潮目の変わりを感じる。


念入りに準備されたショー

各社のキーノートスピーチはあまりに見事。とくにパナソニックなどの日本企業はパワーポイントで原稿を読み上げたりしないかとドキドキしていたが、他社と全くプレゼンの構成が同じ。それは、映像を最大限に利用、ゲストを壇上に招く、顧客(仕込み)と掛け合いを行う、開発担当者(役者?)らしき人間から新商品の説明を行う。

おそらく、すべてのステージを代理店がショーとして作り上げたのだろう。そして、スピーカーは多少はテロップに目をやりながらも、その原稿を完璧に頭に入れ、芝居のように入念な準備と練習を繰り返したうえでスピーチ、プレゼン。さすが、ラスベガスで開催されるビジネス・ショー。世界中からこの時期に14万人も集まる理由もよく分かる。入場料も事前に登録すれば無料。渡航費や宿泊費くらい安いものだ。