イヌ孫

このたびのハワイ旅行は久々に家族4人。昨年は息子と娘が留守番だったので、犬のジジの心配は全く無かった。しかし、今年は2人とも旅行に行くという。そのときから、いちばんの心配ごとは、みんながいない間、ジジをどうしようかということにあった。

すぐに思いつくのが、同じマンションに住む「おじいちゃんとおばあちゃん」に預かってもらうという案。毎週1回は連れて行っているので、ジジも慣れている。ジジが我が家に来たときから、ジジも2人のことをかわいがってくれる人たちと認識している。間違っても噛むことはもちろん、吠えたり唸ったりしたことも無い。そして、ジジはいつでもお行儀が良いので、2人ともジジのことがお気に入りだ。

そこで相談してみると、喜んで引き受けてくれる。そして、早速練習を始める。ハワイ旅行前にジジをお泊りさせてみた。そのときにわかったことは、家内がいなくなると、玄関の側でしばらく待ち続け、「クー、クー」とさびしそうに鳴くということ。これは、家内が突然いなくなると探してしまうためで、出かけるときには餌をあげ、「これから出かけるよ、必ず帰るからね!」というサインを送る普段の習慣で対応することで収まった。

もうひとつの課題は、ジジは我が家の決まった場所でしか、用を足さないということ。散歩に行けば外で何度もするが、屋内では他人の家ではもちろんのこと、気がついてみれば、我が家でも他の場所でソソウをしたことが無い。小さいころは、他人の家でも用を足していたが、いつのまにか、繊細な女の子になったらしい。


そのため、お泊りの練習の日に家内がお迎えにいくと喜びのあまり少しもらしてしまった。そして、我が家に連れて帰ると、これまた喜び走りまわり、落ち着いた頃、ソファーの上で、間に合わずにもらしてしまった。「あっー」と大きな声で驚き、すぐに決まった場所に連れて行くが、いけないことをしてしまったと認識しているようで、しっぽがしなだれている。そして、しばらくすると娘の部屋に隠れている。発見するとさらに納戸の奥の方に隠れようとしている。

これは練習をさせないと、ということで、何度か留守番練習をさせてみる。いつでもお利口にしているそうだが、決して用は足さない。そのため、対策として、1日朝と晩に散歩に連れてゆく、もしくは不在の我が家に連れてくるのはどうだろうかということになる。とはいえ、2人ともかなりの歳なので、とても朝と晩に散歩に連れて行けるほどの元気は無い。そうなると、長い年月に亘り家事のお手伝いをしてくれている「おばちゃん」と義理の姉が手伝ってくれると言う。2人ともいつもジジをかわいがってくれている。

こうして、4人で留守の間のジジの面倒を観てくれることになった。義理の姉は2日間、泊まりにまで来てくれて。

帰国後、早速ジジのお迎えに行く。案の上、朝から用を足していなかったので、玄関先で喜びのあまり漏らしてしまう。家内が散歩に連れてゆき、用を足させてから我が家に戻る。家族4人に会い、ジジはうれしそうにしている。

ただし、気がついたことだが、どうもイヌには時間の長さに対する感覚が無いのではないかと思う。ちょっとでかけて帰っても、1週間ぶりに会っても、なんとなく喜びの度合いが同じような気がする。長い間いないから、「クー、クー」と鳴いてしまうとうようなことは無さそうだし、もっとずっと長い間、「おじいちゃんとおばあちゃん」の家で過ごしていたとしても、大丈夫だったのではないか?などとも思う(用を足す問題は残るが)。

そういえば、おばあちゃんがジジを預かっていることを友人に話したところ、最近よくある話だそうで、「イヌ孫」というらしい。どこも同じようで。