新しい領域に足を踏み入れる

この数カ月はNew Businessの開発にフォーカスしてきた。そもそも、New Businessなんていう表現自体がものすごくアバウト。既存の売上を上げている以外の顧客や製品、サービス、市場から売上を上げれば一般的にはNew Businessだと胸を張って言えるのかもしれない。何をしようかと考えているとき、会社にゴロゴロしている中古の携帯端末を発見。最近では、これを有料で引きとってくれるので、これを売って、New Businessのアカウントにしようかと、冗談で話したくらい。コンサルティングも同じ。お客さんで、プロの手を借りたいというニーズがあり、業務委託で派遣する。これまた、新しい売上を計上。もちろん、人件費を差し引いて利益が出るフィーなので、利益まででる。

しかし、この類の「頭数イコール売上」というビジネスモデルは、自分のところの場合はすでに持続的ではないということが判明している。たしかに、高い技術力でお客さんのニーズに合わせてモノを作り、見合った対価を得るというのはビジネスの基本。ところが、この数年、明らかにこのビジネスの構造が機能しない。たとえば、高い技術力に見合った対価はもはやもらえない。このデフレの時代。安いことは何にもまして善。こちらも高い価格を持ち出しにくいし、お客さんはつねに安値を求める。この交渉だけで数カ月を要すると、この時間のほうがよほど無駄に見えてくる。

また、もうひとつ辛いことがある。「頭数イコール売上」のビジネスモデルは、新しい案件が続く場合にうまく働く。あるお客さんの開発にリソースを割り当てる、それが終われば、すぐに次の開発にという具合。常に人件費プラスマージンという料金構造であれば、マージンは残り、また、ライセンスや保守という収入もあとから付いてくる。しかし、一旦、この流れが止まると、人件費は売上や利益を産まない固定費になってしまう。つまり、何もしなくとも、費用が発生し続ける。やがて、この構造には耐えられなくなり、いわゆるリストラしなければならなくなってしまう。会社の具合が良いときは賑やかに楽しい仲間が、一転してしまう。

そして付け加えると、このビジネスモデルはたいていキャッシュインが完成後。つまり、開発期間が長い場合には、資金を持ちこたえる体力が無いと本当に厳しくなる。その開発に割り当てるリソースがひとりふたりなら、何の問題も無いだろうが、全社員総出、なんていうプロジェクトを受注してしまうと、ベンチャーではかなりのことが起きてしまう。

そんな反省をたくさんしながら、New Businessと言われる領域に足を踏み入れ始めた。(続く)