「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」及び「事業計画作成支援コースの運営とベンチャー支援上のポイント」の公表において気が付くこと

総務省が、「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」及び「事業計画作成支援コースの運営とベンチャー支援上のポイント」を公表している。手引きは200ページを超えるパワーポイントに、びっしりと書かれている。内容も整理されているだけではなく、いわゆる、ビジネス書コーナーに並ぶ本のエッセンスが、盛り込まれている。NICTで開催されるこの支援コースのテクストのようだ。

今回、この資料についていくつか気が付いたことがある。

  • はてなブックマークで発見したこと: 通常、総務省の公表資料はひととおり目を通している。しかし、この資料は気が付かなかった。というよりは、中味をクリックしなかった。はてなブックマークの上位に無ければ、間違いなく見つけることはなかった。ネットの無限のコンテンツから何かを発見するツールにソーシャルブックマークが活用できる良い事例。
  • 作成者: 一部のブログを見ると、総務省が作成したように考えている。これはおそらく違う。パワーポイントのプロフィールを開くと、作成者の名前がさりげなく入っている。元マッキンゼーで、独立系のコンサルタントの名前。この名前もGoogleで調べれば、会社ととも人物がわかる。Linkedinでも発見できる。ネットで経歴を知ることができる良い事例。(そうなると、ネットに変な情報はアーカイブされたくない)
  • タイミング: 3月後半に公表されている。年度内の予算消化と考えるのは、かなりうがった見方だろうか。「日本の活力はベンチャーにあり」という政府や学識経験者の懇談会などの方針 → 「ベンチャーを成功させるためには、支援が必要」 → 「融資制度だけではなく、経営者を育てることが必要」 → 「支援講座を開設」 → 「総務省で予算確保」 → 「コンサルに丸投げ」 → 「年度内に予算消化」。ただし、予算で作成されたものであれ、その成果物を広く公表するという姿勢はかなり高く評価できる。研究会などの資料は、かなり充実しているが、この手のテクスト型の資料も役に立つ。

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  • 内容: この手の資料は一般的に商法的な手続きや、財務、会計、法律などのハード面での情報の解説が多い。しかし、この資料は、200ページの半分以上を、人、組織、会議、自分自身の行動などの、ソフト面でのノウハウやスキルにページを割いている。さらに経営者としての心構え。「若くしてベンチャーを設立」と言えば聞こえが良い。しかし、長く管理職を務めていれば、自ずと学ぶ経験が蓄積される。そういう経験が少なくして、突然、企業のトップになり、うまく行けば上場を果たし、その会社や自分が多くの人と関わる「公」の立場になる。そのソフト面での未熟さゆえに、悩みも多いのだろうなと想像してしまう。