パラダイス鎖国とザ・ウィンザーホテル洞爺

子供の春休み。北海道に行く。ホテルはサミット開催場所でもあるザ・ウィンザーホテル洞爺。3年前、このホテル内のフレンチレストランのミッシェルブラスでは、こんなに旨いのかと驚かされた。もう一度来たいものだと思っていた。この時期、予約で一杯だろうと思いつつもネットで予約状況を調べてみる。すると、空いている。娘ももう一度行っても良いと言う。値段も気にせず、あっさりと決まる。

機内で読もうと数冊、本を買い込む。そのなかの一冊。

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

以前からネットで話題になっているのは知っていた。その評判どおり。素晴らしく明快。視点が身近、たいへん分かりやすい。

日々さまざまなことが起き続けている。過ぎ去ったことは、たいていは忘れてしまう。この本は、この約30年間に日本で起きた変化を俯瞰し、大きな流れを読者に見せる。Google Earthで空から日本をみたような感覚に近い。ここで語る著者の日本感は、筆者自らの体験に基づいている。

たとえば、ホンダに入社し工場現場を経験、スタンフォードに自費でMBA留学、NTTアメリカに現地採用で入社、ベンチャーの携帯会社の倒産、シリコンバレーにおけるコンサル。この経験を題材に、日本人や日本企業の変化、さらには世界のなかの日本について語る。その主張は、日本は、国内市場が大きいため海外進出する必然性が下がり、生活環境も外国を上回り、国内に居ることがパラダイスであり、外国との関係性が希薄になり、鎖国のような状況だと言う。


http://www.windsor-hotels.co.jp/static/special/img/ph_first2_1.jpg

このザ・ウィンザーホテル洞爺。ホテルからの景色、従業員の態度、ファシリティ、食事、すべてが本当に素晴らしい。新千歳空港からバスで2時間以上。円高が進み、同じコストと時間で海外に行ける。それにもかかわらず、このホテルを選んだ。そして、期待を裏切られることなく、まさに快適。パラダイス。海外に行く必要性がなくなっている。海外よりも、国内のリゾート方が良い。



この本は、モノの見方が、かなり自分に似ていると思いながら読む。通信会社の経験や留学経験という点で共通項が多いのだが、それだけではない。どうやら著者は同級生。同じ時代を、同様の体験をしながら通り抜けてきている。そうなれば、モノの見方や考え方が似ているのも当然と言えば当然か。


ただし、こちらは最低限の回数しか国立に行かないような学生。もちろん存じ上げない。