「そうだろうな」と考える本

知られざるNGN構想の裏側とサブタイトル。帯には、「ソフトバンク、KDDI以上の難敵は内部にいる。通信・放送融合で直面するジレンマとは？」。書店でつい手に取った「NTTの自縛」。

NTTの自縛

NTTは電話的価値観に未だに支配されており、計画どおりに進めることにこだわり、現在の組織、体制、派閥の維持に注力。すべてが内向きであり、外部の変化には全く関心を持たず。NGNもそのような価値観で進めており、全く無意味なものになりかねない、という内容。

技術系の幹部による、「NGNは商用化以降、何かとてつもなく恥ずかしい、大きなトラブルが起こりそうな気がする」との発言が印象的。インタビューに対して、ここまで内部の問題を語るような状況にあるということ。この引用が残るメッセージとしては強い。そのほかに語られていることは、驚くようなことでは無い。「そうだろうな」と思えてしまう。

この本は、インターネット以降に参画した業界関係者には、「そんなにひどいのか」という点で面白いのかもしれない。しかし、DDX-P、CAPTAIN、INS、ATMを経験している、それ以前からの業界関係者にとっては、「かわらないなぁ」ではないか。

この組織の行動を変えるキッカケが、先の技術系幹部の発言のような、「とてつもなく恥ずかしい」ことではあまりにも情けない。