NTTが語るNGN
リックテレコム主催のNGNセミナー。NTTでNGNを担当されている役員の方の講演を聞いた。新しい情報は特に無いが、実現にむけた意思のようなものが伝わった。次のようなメッセージは確実に伝えていた。
- 現状の回線交換の電話はIP電話に置き換える
- 各家庭に光ファイバーが複数敷設されているような状況は不自然
- IP電話だけではなく、地上波テレビなどの映像伝送にも利用できる
- 既存のインターネットを置き換えるものではなく、インターネットの有する問題を解決する
おそらく、NGN構想を発表以来、決して前向きではない意見の集中砲火を浴びているのだろう。冒頭より、自分たちの意図がうまく伝わっていないと、おかれている立場について説明があった。講演では、NGNの意味合いを丁寧に説明していた。
この話を聞いて冷静に考えてみる。そうすると、
- IP電話が必要か = 顧客の立場からすれば、IPでも回線交換でも良い。IP電話は「合理的な」料金を提供するのであれば、IP電話が望ましいという程度
- 管理されたインターネットが必要か = P2Pのようなファイル交換で大量にネットのリソースを使っている人と、メール程度にちょろちょろ使っている人が負担する金額が同じではおかしくないか。また、もしネットワーク側でスパムを防いでくれるのであれば、それもうれしい
- 地上波を光ファイバーで見たいか = CATVをテレビのコントローラで操作しているが、じつは結構面倒。これがパソコンになった日にはもっと面倒。ユーザーインターフェースが良い家電が普通に手にはいるようになれば、使ってもよいかなという程度。本当のところ、時間が拘束されるテレビは視なくなっている。YouTubeで充分。
という具合に、ユーザーの立場としてはどうでも良い。
しかし、事業者の立場として考えてみると、この国のためにNGNが必要だという論理は良く理解できる。
- いつまでもコストが高い回線交換というわけにはいかない
- 通信事業者が責任をもてない通信網であってはならない
- 世界をリードしたい
つまり、NGNは、ユーザーに強い便益は提供できないが、国のために必要な通信網ということだ。そういう視点でみると、最近では、NGN脅威論よりも、大丈夫かNGN?という気分になってきた。