知ったかぶりに気がつく本

ビジネス文章を書く技術を説明する本の古典。著者はコンサルティング会社のマッキンゼー社で数多くのコンサルタントに文章の書き方について指導してきた。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

読み手にとって、わかりやすい、伝えやすい文章の構成について、多くの例を使い説明している。有名な方法は、ピラミッドストラクチャーといわれる論理の構成の技術。その文章で伝えるべきメッセージを頂点にし、その主張を支えるメッセージがその下に(たとえば3つ)あり、さらに、そのそれぞれのメッセージを支えるメッセージが(たとえば3つ)という具合に、ピラミッド構造に論理を構成することが重要だというものだ。


ロジカルシンキングクリティカルシンキングといわれる手法は、このピラミッドストラクチャーがベースだ。

こういう本を読んでいると、いかに自分はわかっていなかったかと気がつかされる。特に、この本は、普段見かけるようなメール文をわかりやすく表現しなおすと、どうなるかという事例を多く使っている。それは、部下の文章を直す立場にいる人たちにも問いかけられている。つまり、自分がわかりやすい文章を書いてきたかという点で心配になるし、これまで正しい指導をしてきたかという点でも心配になる。

また、自分の「知ったかぶり」にも気がつかされた。たとえば、「イシュー」。あたりまえのように使っていた表現だが、言葉の出所は、法廷の「係争」から由来している。そのため、「イシュー」は、Yesか、Noで答えるべき課題でなければならない。つまり、「どうやるか」ではなく、「やるべきか」という問いの設定がイシューのレベルということだ。とかく、どうやるかを議論しがちだが、その根本にあるのは、「やるべきか、否か?」という問いにある。

この問いに対する答えをあいまいにしているから、物事が決まらない・・・ということはよく経験するところだ。