古典と思いきや

1989年に出版された発想法の本。古典と思い読んでみる。

発想法入門 (日経文庫)

発想法入門 (日経文庫)

1930年ごろからの発想法やその研究が整理され、わかりやすく説明されている。この本を読む限り、発想法は、1930年代の終わりごろ、広告代理店の副社長のアレックス・オズボーンが作ったブレインストーミングに始めまると言っても良さそうだ。この本のなかに、このブレインストーミングから発展した、チーム、複数の人間でアイデアを出し合う手法が説明されている。

そのほか、

  • 連想刺激法・・・カタログ、ことわざなどから連想しながら発想する
  • キーとなる情報を探索する方法・・・タウンウォッチングや属性を列挙することから発想する
  • 情報組み合わせ法・・・天狗俳諧発想法などおもしろい。江戸時代から伝わる遊びで、5・7・5の句をそれぞれバラバラにして再度組み合わせると、これまでには考えもしなかった句が生まれるなど
  • 類比当てはめ法・・・シネクティクスという発想法では、類比による発想を多く活用する。すごいのは、あるもの(たとえば「ほうき」)になりきる擬物化法。インタビューア役が「ほうき」になりきった人にインタビューしてゆく。「どういうところで働いていますか」、「ひとにどう使われていますか」など。自分がほうきだと思うとかなり悲しい答えがでそうだが。
  • 発想転換法・・・スーパーヒーロー法。ウルトラマンやスーパーマンになったつもりで発想する。わが長男が小さいころにはよくやっていたが。

こうして整理された古典的な方法を見てみると、「考具」で紹介されていた、誰かになりきる「七色いんこ」や「連想ゲーム」など、発想法の本質は同じ。

ただ、紹介されている発想法が、手軽なツールという感じがしない。私が考える何とかハックのような軽いノリではなく、しっかりと設計された手法だからだろう。