NGNは通信業界をどうかえるか

昨日書いたようにNGNはザ・インターネットとは別のIP網。NGNは明治時代以来、頑強に構築されてきた電話網をIPに置き換えるが、電話サービスは、いまとほとんど同じ(はず)。NGN網のなかでIP通信する限りはセキュリティの観点で安全度が高まり、障害にも強そう。地上波テレビ放送のような動画コンテンツをIPでブロードキャスト(多数のひとに同時に配信)したり、オンデマンドで配信できる。その映像品質は安定し課金は柔軟(さまざまな課金)が行われる。

という前提で考えると、

中継系通信事業者
現在、北海道から九州にかけるような長距離電話はNTTコムKDDI日本テレコムフュージョンなどの中継系通信事業者が提供。その役割は、北海道や九州などの地域の電話網相互間や加入者電話局相互間を接続する網の提供。一方、NGNは加入者網相互間をIPで接続する網。つまり、NGNはNTT東西が構築する新規に出現する中継網。

電話に関して言えば、NGNを成功させるためには、現在の長距離電話の顧客が利用しない限り、「何でつくったのか?」ということになりかねない。すると、同じグループのNTTコムの顧客がすべてこのNGNに巻き取られるであろうと想定される。つまり、NTTコムは、顧客との営業(ソリューション)活動はおこなうがネットワークを持たない通信事業者になりかねない。

他の中継系通信事業者にしても回線交換網からIP網への移行を進めている(はず)。回線交換網の交換機とIP網のルーターやサーバーとは随分コストが違うと言われている。このIP網構築に遅れた事業者にとっては、場合によってNTTのNGNを利用した方が経営面で有利ということも想定できる。そうなると、自分でネットワークを構築しないでNTTのNGNに丸投げする通信事業者が存在してもおかしくない。さらにNGNには課金のプラットフォームもあるので、やっかいな課金システムも丸投げできる。

それは通信会社というよりは販売会社に近くなってゆく。法人むけに通信システムを併せて売るか、複数の通信機器やサービスをワンストップとしてセットで納入して利鞘をかせぐか、企業の生産性向上と組み合わせコンサルティングとなるか。いずれにしてもアプリケーションの分野にシフトし顧客のITシステムに入りこみ始める。ただし、この分野はSI系の事業領域であり通信事業者の参入は容易ではない。すでに通信会社がコンサル会社買収するなどの動きなど聞こえ始めている。資金に余裕があるうちに早く進めておくというシナリオだろう。

おそらく通信会社がソリューションの分野に入ると、ひとつの企業グループの通信サービスだけしか売りませんというわけにいかなくなる。そうなると、ますます自らがネットワークを所有するという通信事業者の姿の形骸化が進みそう。

(続く)

と思う・・・。