仮説思考
あなたの組織はどちらだろうか。
- 網羅思考:頭のよい人が多い企業、たとえば伝統的大企業ほど網羅思考の傾向が強い。結果として理屈先行で、意思決定に時間がかかったり、人の提案にはまず批判やあら探しから入る傾向がある。出てきた課題に順番をつけたがる。
- 仮説思考:まず、仮説をたて、走りながら検証し、解決策を模索する
外資流の仕事の進め方がよく理解できる本。特に、上記の両方のタイプの組織を経験したことがあると、この本が伝えたいことがよくわかる。そして、過去、一緒に働いた外資系のコンサル会社の仕事の進め方だ。
- 作者: 内田和成
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 単行本
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仮説とは、「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」。仮説をたて、その検証を繰り返す。これは、すべてを集めてから結論を考える仕事の進め方とは全く異なる。
そして、それにより、多くのメリットが生じる。
- スピードが格段に速くなる
- ストーリーラインを作りやすくなる
- ブランクスライド(メッセージだけで、あとは白紙のスライド)を使えば、人に仕事を分担することも容易になる
仮説のたてかたには定石はない。BCGのコンサルタントによれば、(1)ディスカッションから、(2)インタビューから、(3)思いつき、(4)深く考えて、の順で仮説がでてくるそうだ。
そして、その仮説の検証も、(1)実際に実験、(2)ディスカッション、(3)分析、により行う。
定量分析の方法は、(1)比較・差異、(2)時系列、(3)分布、(4)因数分解。
たしかに、少ない情報で、答えを先に出してしまうのは気持ちが悪いという人も多い。また、失敗することも多いという。しかし、失敗から学ぶことで、より良い仮説をたてられるようになる。ロッテのバレンタイン監督の本、「 バレンタインの勝ち語録」からの引用がよい。
- 「平凡から抜け出すには、失敗してみるしかない」、
- 「自分が何かの分野で成長するために、それまでと違ったことに挑戦したり、さらに上の段階を目指して努力するときには失敗がつきもの」、
- 「勝ち星は逃しても、教訓は手に入れろ」
そして、「知的タフネス」であれと言う。それは、知的に打たれ強いということだ。コンサルタントの世界では、IQが多少低くても、何度でも何度でも挑戦して、そこから学び取れる人間のほうが成功しているという。
赤い線がたくさん残った本だ。