値上げか

Rbodyから会費の値上げについて、手紙が送られてきた。7年間に業界の先駆者として、新しい道を切り開いてきた。次の成長のために、より質を高くするので値上げしたいという。値上げのトレードオフとして提供されるいくつかのサービスはメリットがありそう。とはいえ、小さな値上げ幅では無いので、かなりの自信があってのことだろうと思う。ついて来る人はついて来いという、かなり男らしい。

同時に、このデフレ期にもかかわらず、家内の通う料理教室も値上げするという。こちらは独立した2人の先生が、青山に場所を借り、生徒を集め料理教室を運営している。何人の生徒がいるかはわからないが、抱えている問題の本質は同じ。

2人しか先生はいない、賃料という固定費はかかる、質の高い教室を運営するためには準備の時間も必要で、生徒数を増やすことが難しい。その一方で、立ち上げから必死でやってきたが、数年続けて、ふと振り返ると、自分達の給料を増やす仕組みがない。生徒数を増やすことで全体の売上を増やすことができないのでのであれば、値上げをして、一人当たりの収入を上げて、全体の売上を増やすという結論に至る。

経済学で学ぶ理論では、完全(に近い)競争市場にあれば、値上げをすれば需要は減る。一方で、その製品が充分に差別化できており代替が困難であれば、値上げをしたとしても需要の減少は少ない。しかし、こんなデフレ環境にある現実をみると、なかなか、そこに踏み切れない。

特に大きな組織であれば、経営構造が、常識的な選択をするための「会議」によって意思決定をすることから、思い切った手を打てない。相当大胆に意思決定できる組織でないと、そんな決定は難しいだろう。

自分たちの会社もビジネスモデルを変えるときにきている。今のモデルのままでは、突然に顧客が押し寄せるということを想像するのが難しい。また、仮に押し寄せてきたとしても、社内のリソースに制約があり、そう簡単には引き受けられない。つまり、Rbodyや家内の料理教室と同じ構造。

同様に値上げをできるか?と考えてみる。社内では議論の対象にもならなかったが、可能なのかもしれない。グローバルに競合は多いが、ある分野では独占的に製品を供給している。その実績もある。顧客が他社に移る場合のスウィッチングコストも小さくは無い。相当にドライな経営者が再建を任されたとしたら、このオプションも真剣に考えるのだろう。

とはいえ、自分たちは新しいビジネスモデルの構築をはじめており、それなりに動きはじめ、面白くなってきたところ。そして、引き返す気も無い。(続く)