立派な人

「巨大通信ベンチャーの軌跡」を読む。ベンチャーで日々四苦八苦している身からしてみると、著者が語る苦労が良く理解できる。随分と頭の良い人らしく、学んだことをたいへんわかりやすく説明している。自らを凡人と呼び、その凡人がベンチャーのファウンダーになるとこういうことが起きるのかと同情も覚える。意思決定や組織運営には官僚組織をモデルにしていたとも言う。つねにバランスをとりたいのだろう。それは、きっと、何かを信じていたり、決めつけていたりということが無いためなのだろうか。また、通信業界に対する強い思いや自分なりの絵というものも無いので軸が定まらなかったのかもしれない。唯一の思いは、日本でADSLを普及させたかったということか。

巨大通信ベンチャーの軌跡 ブロードバンドをめぐる攻防

巨大通信ベンチャーの軌跡 ブロードバンドをめぐる攻防


そのため、その目標を達成したあとの迷走ぶりは、ワイマックスの免許申請劇などで業界の誰もが知るとおり。本書では多くのページを割いてはいないが、結果として同社を去る原因になったようにも外からは見受けられる。しかし、立派なのはそのあとだ。コンサルを初めているらしいと聞いたり、知事選に立候補するらしいと聞いていたり。最近では、当選したとも聞く。