携帯を忘れると

携帯は持ってきた。しかし、国際ローミング対応でない機種をもってきてしまった。つまり、台湾では全く役に立たない。こうなるとかなり不便。日々の生活では極力携帯を使っていないつもりだった。考えてみれば、携帯というのも割りと失礼な道具で、相手の状況にお構いなく、こちらの事情で連絡するツールのように思えたからだ。トイレであろうが、電車のなかであろうが、人と話している最中であろうが、呼び出される。

そう思うから、こちらもあまりかけない。ところが、つながらないとなると事情は一変する。いまごろ何を言っているのかと言われそうだが、携帯を電話以外の用途に使っていたことに気がつく。

少なくとも腕時計をしていないので、時計代わりであることは間違いない。また、メールが使えないことがすごく不便。家との簡単な連絡にもネットでGmailを立ち上げなければならない。もっと不便なことが、会社のメールにアクセスできないことだ。PCからのリモートアクセスは面倒なので、随分前から利用しなくなっている。

電話が利用できないことも、もちろん不便だ。友人がネットに個人情報を書き込みしていることを発見。すぐに削除をお願いしているのだが、携帯で連絡できない。メールを送ってはおくが、見ているのか確認できない。もちろん、ホテルの国際電話を利用するものの、相手は留守電。これまた聞いたかどうかわからない。相手の携帯にだって急に国際電話があれば出ない気持ちもわからないではない。

ただ、こちらでの予定が携帯で連絡する必要が無いことが良かった。

ほんの5、6年前。海外出張で携帯を持参することなどなかった。ネットだって、いまのように一般的ではなく、ホテルの国際電話が唯一の日本との連絡手段だった。それはそれで充分に用が足りていた。

だが、いまは、携帯を忘れるとすごく不便であり、違和感すら感じる。中毒ということではなく、何か、お金を忘れて買い物に行ってしまったような感じ。人としての能力が弱くなったような気すらする。