松井秀喜 「不動心」を読む

空港の本屋で手に取る。以前から新書のコーナーに並んでいるのは知っていた。少し軽めの読み物が良いかと読んでみる。おそらく、松井が書いたというよりは、語っていることを編集者が本にしたのだろう。新書のパターンだ。

不動心 (新潮新書)

不動心 (新潮新書)


しかし、内容は良い。松井秀喜の人となり、その考え方が良くわかる。松井は、間違いなく優等生だ。きっと、小さいころから学級委員長だったり、部長だったり、キャプテンだったりしたのではないか。いや、実際は指導者の教えを素直に学び、そんな思考法を身につけていったのだろう。たとえば、高校時代の監督や、巨人軍時代の長島監督が、いかに松井を大事に指導したかが伝わってくる。そして、松井がその教えに、素直に応え、その教えを自分のものとし、この「不動心」とタイトルされた本のような、心構えや考え方を自分のものにしたようだ。

こんな思考法をする松井が自分の身近にいれば、間違いなく組織のリーダーだ。そして、そんな組織はきっと結束の強い組織なのだろう。

松井は、「不安」や「否定的」なことを口にしない。「万事塞翁が馬(いま良いことが実はそうでなく、いま悪いと見えることが実はあとで役だったり、目の前の出来事に一喜一憂しても仕方ないという考え方)」。怪我をしたことさえも、前向きにとらえる。

中村天風など、数多くの「教え」。松井の思考法と共通している。

ふと、イチローはどうなのだろうと考えた。