贈り物か

 家内も犬を飼っていた。小学生のころから一緒に暮らし、子供も産ませ、2匹の犬を結婚する直前まで飼っていた。

 とても賢かったという母親の犬は、結婚する数ヶ月前に、突然、家から姿を消した。生まれたころから家のなかで飼っていた犬だ。勝手に外に行くような犬では無かったのにだ。少し抜けていた子供の犬も、同じように、その1年後にいなくなった。

 家内は必死に探した。結局は見つからなかった。家内はいまでも思うことがあるという。それまで、心からかわいがっていた犬だった。しかし、人生の変わり目に際し、関心が薄れていたと。そのことを犬が敏感に感じてしまったのではないかと。

 私が子供のころに飼っていた犬は、郊外から都内に引っ越すことが決まり、引っ越しの数週間前に逝った。都内が嫌いなのだろうと思った。



 ジジたちは、必要なときに、必要な人や家庭に与えられる贈り物のようだ。