ジジのお約束

 私は朝4時30分に起きる。ジジはまだ寝ている。5時30分くらいになると、布で目隠しされたゲージから、「クー、クー」と甘えた声が聞こえ始める。開けてやると、尻尾をちぎれんばかりに振り、とびついてくる。おおよそ10秒程度すると、私のことは眼中に無くなる。寝室の扉にとびつき、隙間をつくり、家内のベッドに飛び込む。10秒程度、家内の顔を嘗め回すと、布団に入って一緒に寝てしまう。家内とともに6時ごろ起き出す。娘の部屋にいったあとは、キッチンで朝食の準備をじっと見つめる。

 家内が餌の準備をすると興奮し始める。自分のゲージに入り、座って待つ。家内は餌を置くと、決まって、「お手」、「お代わり」、「待て」と指示をする。ジジは餌を前に、舌なめずりをしながらも、じっと待つ。その状態で、家内は隠れたりする。それでも、ジジは待っている。家内が姿を見せ、「よし」と言って、頭をなでてやると、食べ始める。わずか10秒だ。そして、食べ終わると、必ず、キッチンにいる家内に報告にいく。

 私は会社に行くために玄関に向かう。ジジは必ずあとを付いて来る。そして、玄関で私を見送る。

 毎日、同じことを繰り返す。ジジは幸せそうだ。