R-Body、インテルサット、インターネット

 恵比寿のR-Bodyでのこと。ロッカーでFM放送が流れていた。話題は、南極観測隊の方へのインタビュー。隊員の方の声が入る。「最近は、、インテルサットのおかげで、通信の問題は全くありません。南極の観測所から日本へも内線で電話ができます。また、家族とも何の不自由も無く、連絡がとれます」。ここで、テープが一度止まる。


 よくあるパターンのインタビューテープ。実際は、別のタイミングで録音した内容を流している。FMのナレーターの女性が、まるで1対1でインタビューしているかのように続ける。「そうですよね。インターネットはすごいですよね」。え?、思わず耳を傾ける。彼女は続ける。「私も海外が長いので、インターネットのおかげで随分と助けられました」。確信した。この女性は、インテルサットとインターネットを勘違いしている。これは双方向のやりとりをするインタビューでは無いので、相手も誤解を訂正しようが無い。こうして、このインタビューは、誰も訂正することなく、ずっと放送されてゆく。


 たしかに、インテルサットを知っている人はものすごく少数のはずだ。おまけに、普段の生活には無関係。インターネットというパワフルな言葉の前には、存在しないかのように取り扱われるのも当たり前か。ただ、インターネットは空気ではない。物理的な回線があるわけだ。南極の場合は、昔は短波回線だったのだが、いまはインテルサットが衛星回線を提供している。

衛星通信年報〈平成17年版〉

衛星通信年報〈平成17年版〉

 「公共性」を訴える放送が、誤解を誤解のまま、堂々と流してしまう。そのこともだが、通信インフラの存在が意識されない時代は、もっと心配だ。