通信業界の3つの種族

通信業界には3つの種族がいるのではないか。


第1の種族:1980年以前から通信業界に生息。逓信省、郵政省、日本電信電話公社国際電信電話株式会社、並びに通信機器メーカーを出身母体とする。法律や約款という論理、回線交換という階層構造や秩序、技術仕様書に込めた設計思想を最も大事にしてきた。


第2の種族:米国において、MCIが新規参入事業者として米国通信市場に参入した1980年代から1990年代前半に通信業界に勃興。当時のDDIを始めとする新規参入事業者がその種族の裾野を大きく広げた。ゼロから立ち上げたことを誇りに思い、ベンチャーであること、競争のダイナミズムを信じてきた。


第3の種族:インターネットが登場した1990年代前半以降に通信業界に誕生。ISPDSLi-mode型プラットフォーム関係者がその大きな母体。黒電話はもはや情報通信機器とは認識していない。携帯とPCこそが情報通信。そのため、つながらないことと、遅いことにはとても敏感。


この分類が正しいと仮定して、第7回の竹中懇談会


 見事にこの3種族が席を並べている。以下に薦める日経BPの3冊は、その3つの種族が、かってはラストワンマイルと言われた家庭へのアクセスラインと、個人にリーチするためのモバイル事業を巡り、闘いを繰り広げたことについて、裏話も含め、よく描かれている。風雲児たちが巻き起こす携帯電話崩壊の序曲―知られざる通信戦争の真実光回線を巡るNTT、KDDI、ソフトバンクの野望―知られざる通信戦争の真実知られざる通信戦争の真実―NTT、ソフトバンクの暗闘



 しかし、この闘いは急速に過去のことになりそうな予感がしている。特に、行政を始めとする世に問いたい。第4の種族がネットのなかで確実に育まれてきている。この種族こそ、この懇談会に呼ばれるべきではなかったのか。この種族は、すでに物理的なネットワークにも、巨大な資金調達にも深く依存しない。さらに、忘れてはならないのは、この種族には国境がないことだ。