違いがわかる世代

 目白にある手軽なイタリア料理店カルミネでのこと。何種類かのパスタ、ピッツアを家族でシェアして食べた。息子、娘は、「うまい、うまい」と喜ぶ。



 家内と話す。自分たちが彼らの年のころ。普通の子供は、パスタという概念は知らなかったよねと。スパゲッティと呼んでいたものは、ケチャップ味のナポリタンのこと。その後、ミートソースが加わった。ピッツアを一般のレストランで見かけるようになったのは、そのあと。この近所では高田馬場の喫茶店。その後、シェーキーズが進出し、ハンバーガーのように急に普及した。

 それらは、カルミネで食べているパスタ、ピッツアとは違うものだ。ちょっと前までは、外国で日本料理に出会えるのは珍しいことだった。みそ汁は、ダシの味が全くしないなど、「似たようなもの」は多かった。それと同じことなのだろう。本物のイタリア料理ではなく、米国経由のイタリア風料理か、日本人が解釈したイタリア風料理だった。

 しかし、いまは、イタリア本場より旨い味、バラエティを、すぐ近所で楽しめる。息子、娘は、小さい頃から、こんなものを食べて育っている。マクドナルドだけ食べているわけでは無いのだ。彼らにとっては、本物であることは、特別であることではない。

 実は、パスタ、ピッツアだけではない。食前に頼んだのはミネラルウォーター。息子と娘が、一口、飲んで言う。

「うまい」。

彼らは、水の味までわかる。